フロンガスは、私たちの生活の中で身近に使われており、社会や暮らしを快適に、また便利にしています。
その一方で、フロンガスによる地球環境への様々な悪影響も判明し、条約・協定・法律等により日本だけでなく国際的に生産の削減や中止、影響の少ないものへの転換、また使用後のフロンガスの適正な回収と処理が求められています。
フロンとは、炭素・フッ素・塩素・水素などから構成される化学物質です。1920年代に開発され、安定した性質を持つため非常に扱いやすく、空調機器・冷蔵庫等の冷媒として長期間にわたり幅広く使用されています。
1970年代の研究で、地球を覆い紫外線などから生物を守っているオゾン層に巨大な穴(オゾンホール)が発見されます。穴の原因は、大気中で放出されたフロンによりオゾン層が破壊されたもので、これにより人間をはじめ生物に有害な紫外線が地表に多く到達するようになりました。
1987年のモントリオール議定書により、オゾン層破壊物質である5種類の特定フロン(CFC)の削減・廃止が決定され、1995年末で生産が全廃されました。
日本ではこれに対応し、1988年にオゾン層保護法が施行されています。
1980年代より地球規模の異常気象の頻発が問題化していましたが、1990年代に入り地球温暖化防止の具体的対策を決める各種国際会議が定期的に開催されるようになります。1997年に日本の京都で行われたCOP3(※)において、温室効果ガス(炭酸ガス・フロン・メタンなど)削減の数値目標と期限が国際的に取り決められました。
※第3回気候変動枠組条約締約国会議
企業や団体が活動を行う際に、環境への影響を低減させる取り組みの国際規格。
品質保証のISO9000シリーズとともに、地球環境が大きな問題になり始めた2000年頃から多くの企業・団体が取り組み、認証を取得しました。
日本では2013年にオゾン層保護と地球温暖化防止の観点で、フロン類(CFC、HCFC、HFC)の大気放出を禁止し、適正な回収と破壊処理を行うことを目的として施行されました。
2015年にフロン回収破壊法が改正され、フロンの製造から使用機器の設置・使用中の点検・使用後の廃棄に至るまで、機器のライフサイクル各段階における責任の明確化(漏洩の管理・防止等)と、資源としての回収フロンの再生が定義されました。
2015年にパリで開催のCOP21で採択された、地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた協定です。
先進国・途上国問わず全ての国が参加して、21世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。
2016年にアフリカ ルワンダのキガリで開催のモントリオール議定書締約国会合で採択されました。
オゾン層破壊に影響が少ないことでCFCからの代替として広く使用されていたHFCについて、地球温暖化係数(GWP)が非常に大きい温室効果ガスであるということにより、生産等に段階的な規制を加えたものです。
2015年の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能な社会の実現を目指すための、環境・経済・社会における17の国際問題解決の目標(ゴール)のことです。